Craft Garden

1993年生まれのゆとり世代の僕が、アニメや映画、読んだ本の感想や、社会に対する不満などを書いてます。

『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』/古谷経衡

本書は著述家、評論家である古谷経衡氏が「インターネットは世論を反映している」という、社会に蔓延っている世界観を様々な事例を基に検証し、否定している書である。

 

インターネット上の声や反応を、「氷山の一角」ととらえるのは間違いであるとし、「亀の甲羅」ととらえているところは非常に面白い例えであった。

 

取り上げている事例は、ネット上では人気野党第一党であった次世代の党の誤算や、ネットと既存メディアとの関係、さらには電子商取引についてまで幅広く言及している。

 

特に個人的に興味深かった事例は、ネットは既存メディアの「反射空間」でしかないというところで、日本人は既存メディアに依存しているとよく言われるが、インターネット空間の中ですら既存メディアにどれだけ依存しているのかということを改めて強く認識させられた。

このことについては古谷氏の『反日メディアの正体-戦時体制に残る病理-』(KKベストセラーズ)を精読すると、より古谷氏の主張を理解でき、面白いのではないかと思われるので是非参照にされたい。

 

また『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ソード・アート・オンライン』などのアニメ作品を例に挙げて論じているのも古谷氏らしいと感じた。

 

ただ、私はユーチューバーと呼ばれる人達のことに関してだけは少し古谷氏とは違う考えではある。

 

しかしインターネット上で一生かかっても閲覧することができない程の情報量が増えても、世界は狭いままで、永遠にリアルを超えられないなと強く感じる。どれだけの情報量があったとしてもネットで見るものは基本的に自分の好きな情報だけである。私自身もネット上で見るものは基本的には自分の興味関心があるものだけで、全く興味のない内容は検索しようとすら思はない。ネットとは所詮その程度のもので単なるツールにすぎない。

本書のタイトルは『インターネットは永遠にリアルを超えられない』であるが、「超えられない」という以前に、リアルがあった上でのインターネットなので「超えようがない」のではないだろうか。

 

本書は非常に読みやすいので、インターネットというものを過信してる人にも、反対に疑問を持っている人にも是非一読してほしい。