Craft Garden

1993年生まれのゆとり世代の僕が、アニメや映画、読んだ本の感想や、社会に対する不満などを書いてます。

【書評】『アメリカに喧嘩を売る国 フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの政治手腕』/古谷経衡

本書は世界から物言う島国として注目されている、大小7000もの島々からなるフィリピンの大統領、ロドリゴ・ドゥテルテは果たして本当は「ポピュリスト」でもなければ「フィリピンのトランプ」でもないのではないかと疑い、実際に著者がフィリピンまで取材に赴き、その定説を否定している本です。

また、本書はフィリピンに関してよく知らない人にとってフィリピンの歴史、我が国日本とフィリピンの歴史的関係についても知ることもできる良書であると思います。

アメリカに喧嘩を売る国 フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの政治手腕

アメリカに喧嘩を売る国 フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの政治手腕


ドゥテルテはフィリピン国民から愛されている


ドゥテルテは2016年5月9日の大統領選において、次点の候補者に700万票近くの差をつけて圧勝。

そしてドゥテルテの支持率は91%と非常に高い。

ではなぜドゥテルテの支持率が高いのか。
それは30年近くにわたってダバオ市政に関与したドゥテルテの政治実績からくるものであって、政治的実績が皆無であり、一般投票においてクリントンに対し200百万票近く負けているトランプとは何もかもが違うことから、「フィリピンのトランプ」という定説を本書では否定しています。

本書ではそんなドゥテルテのダバオ市長時代の実績が詳しく詳述されていて、その高い支持率の理由がよく分かります。

実際に古谷氏が現地まで取材に赴いており、その取材の様子からフィリピン国民がドゥテルテをいかに愛しているのかが分かり面白かったです。



フィリピンの苦難の歴史が認識できる


本書ではドゥテルテに関することだけではなく、フィリピンの歴史に関しても理解を深めることができます。

フィリピンはスペイン、アメリカ、そして我が国日本に支配されてきました。

スペイン時代、アメリカ時代、日本時代とそれぞれの支配下でのフィリピンの歴史について書かれており、いかに苦難の歴史であったのかが分かります。

特に大東亜戦争(本書では一貫して日米戦争と呼称)中のフィリピンでの出来事に関して、我々日本人は絶対に忘れてはならないと改めて強く思った次第です。

また、フィリピンの歴史をより深く理解するために、フィリピン国内の出来事と併記して"そのころ日本では..."と別項で示されており、フィリピンがスペイン、アメリカに支配されていた頃には我が国ではどのような歴史的出来事があったのが書かれており、非常に面白かったです。

フィリピン入門書として最適

ドゥテルテに関してだけではなく、フィリピンの歴史についても理解を深めることができる本書は、フィリピンの入門書として最適だと思いました。

フィリピンについてはこれまで大東亜戦争でのバターン死の行進やレイテ沖海戦などフィリピンでの戦いのことしか詳しくは知りませんでした。

しかし本書を読んでからドゥテルテ大統領によってフィリピンがどう変わるのか?と興味が沸いてきました。

ドゥテルテとは一体どんな人物なのか、フィリピンとは一体どんな国なのかを知りたい人には必読の一冊であると思います。